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ゴルフファンに新しい観戦体験。<br>スポーツテックでのデジタルツイン活用の大きな可能性

ゴルフファンに新しい観戦体験。
スポーツテックでのデジタルツイン活用の大きな可能性

2023.09.08 FRI

ゴルフファンに新しい観戦体験。
スポーツテックでのデジタルツイン活用の大きな可能性

2022年7月に開催された第150回全英オープンゴルフでは、全コースをデジタルツイン(サイバー空間上に作成された現実空間のコピー)上に再現し、ゴルフファンに新しい観戦体験が提供されました。そこから見えてきた課題や可能性を語るとともに、スポーツテックでのデジタルツイン活用の未来像に迫ります。

全英オープンゴルフへの活用から見えてきたデジタルツインの大きな可能性【DATA INSIGHT】:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2023/0208/

目次
芝の種類までリアルに再現されたコースと2cm精度のボールの軌跡で新しい観戦体験を提供
デジタルツインコンピューティングから見た今回の取り組み
取得したデータを再利用し、新たな価値を創造
スポーツにおけるデジタルツイン活用の可能性は無限大

芝の種類までリアルに再現されたコースと2cm精度のボールの軌跡で新しい観戦体験を提供

2022年、NTTデータは初めて全英オープンゴルフへデジタルツインを導入しました。
デジタルツインでは、ゴルフコースをデジタル空間上に再現し、ボールの位置データをリアルタイムで3Dマップ上に表示する取り組みが行われました。ShotViewとLeaderboardというウェブアプリを通じて、観戦者はプレーヤーの現在地やホールの統計データを閲覧でき、また、ショットデータが動画として提供され、視聴者はボールの視点からコース上を追跡できます。これにより、ゴルフファンにより臨場感ある観戦体験が提供され、さまざまなデジタルデータが収集・活用されることで、今後の利用も期待されています。

ShotView画面イメージ
ShotView画面イメージ

NTT DATA UKのスポーツテック責任者、Laurence Normanは、ゴルフファンの楽しみを増やすために重要な3つのポイントを説明しています。まず、セントアンドリュースのオールドコースを正確に再現するために、ドローン測量データとオルソ画像※1を使用してリアルな3Dマッピングモデルを作成したことが挙げられます。また、グリーンに関しては高精度なLiDARマッピング※2を実施し、その精度は2cmです。これらのデジタルツインモデルの作成は技術的に難しく、高コストがかかることが一般的ですが、NTT DATAは会場設営の一環としてコースのマッピングデータを活用し、効率的に実現しました。

次に、正確なプレーヤーの位置とボールの落下点データの取得が挙げられます。特にボールの落下点のリアルタイムデータ取得は難しい課題でした。このため、240人のスタッフとマシンビジョンカメラ※3、レーザーレンジファインダー※4を使用してゴルフコース全体を計測しました。センサーの配置と計画が重要で、打たれたボールを20秒以内で正確に追跡できるようにしました。

最後に、得られたデータを活用することがポイントで、大会期間中の全選手のボールポジショニングデータをリアルタイムで3Dマップにプロットし、視覚的に表示する取り組みが行われました。また、各ショットのデータは動画形式で保存され、視聴者が自分がボールになった視点からコース上の詳細を追跡できるようになり、将来的にデータを再利用できるようになります。

NTT DATA Wall
NTT DATA Wall

1写真上の像の位置ズレをなくし、空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの
※2レーザー反射と時間遅延を分析し、正確な表面モデリングを開発する地形測定の技術
※3主に目視検査の代用および画像処理用として使用するカメラ
※4レーザビームを物体表面に投射することにより、距離計測を行う装置

デジタルツインコンピューティングから見た今回の取り組み

NTTデータは、NTTのIOWN構想(近未来のスマートな世界を支えるコミュニケーション基盤)※5の一環として、デジタルツインコンピューティング(DTC)と呼ばれる技術を開発しています。DTCは、デジタルツイン同士を統合し、さまざまなシミュレーションや未来予測を行うための技術で、高度な観戦体験など様々な用途に活用されます。

NTTデータ IOWN推進室長の吉田英嗣は、全英オープンでのデジタルツインコンピューティングの取り組みを、多様なデータを組み合わせて高度な観戦体験を実現し、他の用途への適用も推進する重要な取り組みと捉えています。具体的な例として、街区でのIoTデータや天気情報、人流統計情報を組み合わせて、フードロスサービスやグリーンな空調管理、健康行動のレコメンドサービスなど多くのサービスを創出する「街づくりDTC」が挙げられています。スポーツデータの利活用においても、IOWNのデジタルツインコンピューティング技術を導入することで、新たな価値を創出できる可能性があると述べています。

(※5)https://group.ntt/jp/group/projects/iown.html

取得したデータを再利用し、新たな価値を創造

NTTデータの全英オープンでのデジタルツインコンピューティングの取り組みは、データを再利用し新たな価値を創造する面でも注目されています。NTTデータ UKのLaurence Normanによると、ShotViewを視聴したユーザーの滞在時間は3倍以上増加し、約89%の利用者がShotViewによってスポーツに没入できると回答したアンケート調査の結果が示すように、ゴルフファンにとって全英オープンを楽しむ新たな方法を提供しました。

さらに、会場にいたスポーツインフルエンサーからも高評価を受けました。スマートフォンでShotViewを使用することで、彼らはゴルフファンに対してより興味深い情報を提供でき、大会を大いに盛り上げることに成功しました。

しかし、会場内でのモバイルコネクティビティに関する課題が指摘されました。大規模なゴルフコースで安定した高速通信環境を提供することは難しいため、吉田英嗣はNTTグループが推進するIOWN構想において、プライベート5Gや6Gの研究開発が役立つ可能性を示唆しました。

また、今後のデジタルツインの進化について、データを使用してプレーに関する予測情報を提供する可能性がある一方、ゴルフ用具にセンサーを搭載することの難しさや、データの悪用に注意が必要であることが指摘されました。

しかし、デジタルツインの利活用方法は多岐にわたり、将来的には新たなファン獲得やNFTの販売など、さまざまな可能性が探求されるでしょう。

Normanによれば、デジタルツインは対象物に影響を与えることができる場合に真のデジタルツインとなり、物理環境を変容させることも可能とのことです。
IOWN推進室も、高度なシミュレーションを可能とするデジタルツインの構築を支援し、サイバー空間から現実空間を改善していく未来に向けて取り組んでいます。

サイバーファースト
サイバーファースト

スポーツにおけるデジタルツイン活用の可能性は無限大

Normanは、NTTデータグループがスポーツイベントにおけるファンの取り込みを改善するためにデジタルツインを活用し、成功を収めていることを強調しました。今後は異なるスポーツイベントで得られたデータを横断的に活用し、連携を強化して、ファンの取り込みに関する共通の課題を解決しようと考えています。そのために、IOWNのさらなる進化に期待すると語った。

デジタルツインを用いた観戦体験の向上だけでなく、選手の技術向上への活用も期待されます。

吉田は「サイバーファースト」の概念を紹介し、現実空間に影響を与える前にサイバー空間上でシミュレーションを行い、未来のアクションを導き出すアプローチがスポーツにおいて有用であると指摘しました。例えば、ゴルフのマッチプレーにおいて、1打1打の駆け引きや心理的状態を分析することで、観戦体験が豊かになり、選手のメンタル強化にも寄与する可能性があります。さらに、NTTデータはデジタルツインの技術開発を進め、IOWN構想が社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献するユースケースを創出し続けることを目指していきますと語った。

全英オープンゴルフへの活用から見えてきたデジタルツインの大きな可能性【DATA INSIGHT】:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2023/0208/

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