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NTTデータの「AW3D」が果たすSDGs推進の役割

NTTデータの「AW3D」が果たすSDGs推進の役割

2023.09.08 FRI

NTTデータの「AW3D」が果たすSDGs推進の役割

この記事では、「AW3D」を使った世界銀行の先進的なプロジェクトや、企業がSDGsに取り組むことの意義について解説されています。

世界銀行との共創から得たSDGs成功のカギ【DATA INSIGHT】:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/0421/

「AW3D」は、地球のデジタル化を行い、高精度の3D地図を作成する技術で、NTTデータのソーシャルイノベーション事業部が開発しました。この技術は、人工衛星を使用して地形、建物、物体などのデータを収集し、AIと画像解析を駆使して3D地図を生成します。その精度は非常に高く、宇宙から地表にある50cm大の物体まで識別できるほどです。

この高精度は、複数の人工衛星から送られる画像データを同時に解析する「マルチビューステレオ解析」によって実現されています。また、電波を発するレーダー衛星を活用することで、雲や煙の影響を受けずに地表を読み取り、地図化する技術も導入されました。これにより、自然災害時にも天候に左右されずに現場の状況を把握できるようになりました。

50センチメートルの物体まで表現AW3D
50センチメートルの物体まで表現AW3D

「AW3D」の地図データは、AIを駆使して様々な用途に合わせて加工され、産業、交通、医療など多岐にわたる分野で利用されています。洪水対策のシミュレーションや都市計画、建築プロジェクトの風荷重解析などに役立っています。この技術は世界最高レベルの精度と信頼性を持ち、130カ国以上で2,000以上のプロジェクトで使用されています。将来的には、持続可能な都市や国土づくりにさらに多くの貢献をすることが期待されています。

日立パワーソリューションズの「DioVISTA/Flood」による氾濫化石シミュレーション 
日立パワーソリューションズの「DioVISTA/Flood」による氾濫化石シミュレーション 
提供:日立パワーソリューションズ

「データの貧困」

世界銀行は、貧困の原因の一つである「データの貧困」に対処するために取り組んでいます。世界銀行の役割は「極度の貧困の撲滅」と「繁栄の共有の促進」であり、開発途上国に資金、技術、知識を提供することをミッションとしています。SDGsの目標である貧困の撲滅に関して、過去25年で12億人の貧困者を削減する成果がありましたが、最近では進捗に陰りが出ています。

その理由は、世界の155カ国中57カ国が過去10年で貧困層の調査を1回しか行っておらず、貧困層の生活や必要としているサービスについて全く把握できていないことです。世界銀行はこれを「データの貧困」と呼び、テクノロジーを活用した3つの戦略を立案しています。それらはBUILD、BOOST、BROKERです。

BUILDは、デジタルテクノロジーインフラの構築を指し、貧困者にデジタルIDを提供し、地域のリスク分析を行ってリスクの高い地域にサービスを提供するなど、様々な活動が含まれます。BOOSTは、テクノロジーの利用を支援し、貧困層と国の制度・組織を向上させる戦略であり、BROKERでは民間企業と連携し、新しいプラットフォームを構築し、価値創造を目指しています。たとえば、「Development Data Partnership」という枠組みもBROKER戦略に基づいて生まれました。

横井博行氏が所属する独立評価局は、世界銀行のこれらの取り組みを評価する組織であり、データの貧困に対処するための戦略の成果を監視・評価しています。
独立評価局は、AW3Dのデータを使用して、世界銀行が支援した都市の道路整備プロジェクトの成果を評価しています。この評価は、増加する世界人口に対して都市の土地利用や街づくりがどのように対応しているかを調査し、持続可能な都市成長を支援するために行われています。独立評価局は、モザンピーク・マプトとムンバイという都市でAW3Dを使用し、道路整備の影響を解析しました。

調査の結果、モザンピーク・マプトでは水平方向の宅地開発は進展したものの、垂直方向、つまり高層建築物の成長は進んでいなかったことがわかりました。一方、ムンバイでは水平方向と垂直方向の両方で目立った成長が見られなかったと報告されています。
これにより、従来は高精度なデータが不足していたために検証が難しかった仮説が明らかになり、持続可能な都市開発に向けてどのようなアクションを取るべきかが議論されるようになりました。

テック AW3D を活用した評価の先進事例

公共セクターと民間セクターは、SDGsへの協力を強化し、効果的な連携を推進するために、以下のアプローチが必要です。
横井氏は、これについて次のように述べています。
「通常、ITプロジェクトでは官から発注されて民が実施するという独立したプロセスが多いです。しかし、我々は共通の基盤とコミュニケーションの手段を確立し、公共セクターと民間セクターが共通の目標に向かって協力する必要があります。さらに、ベンダードリブンやプロダクトドリブン、ソリューションドリブンのアプローチから、プロジェクトの本質的な目的を再評価し、オブジェクトドリブンに切り替えることも重要」。

一方で、NTTデータがどうやってコストを抑えつつ世界銀行向けに「AW3D」の地図をカスタマイズできたのか?という問いについて、NTTデータ ソーシャルイノベーション事業部 部長 筒井健は、その成功要因を2つに分けて説明しました。一つは積極的な共有意識で、自社の3D地図を多くのユーザーに提供し、そのフィードバックを元に品質向上とコスト削減を実現していること。もう一つはデジタルテクノロジーの効果的な活用で、ビジネスの持続可能性を確保しながらカスタマイズを行うため、エンジニアリングチームが積極的にデジタルテクノロジーを活用していることを強調しました。

さらに、横井氏は国際機関から見た日本企業の取り組みについて触れ、製品やサービスの品質だけでなく、アカデミック領域での知名度と実績の構築が機会獲得に重要であることを強調しました。一例として、スタンフォード大学から派生した企業がSDGsのソリューションを発表したことで注目を浴びた事例を紹介しました。

最後に、横井氏は企業が多様な組織と広範なコミュニケーションを取り、技術とその活用メリットについて積極的に説明する必要性を強調し、次のメッセージでセッションをまとめました。テクノロジーの活用はSDGsの推進に不可欠であり、国際機関を含む各組織がテクノロジーをどのように活用するかを熟考している一方で、新しい市場の可能性が広がっているため、日本企業や他の関係者が持つソリューションを組み合わせて、新たな社会の構築に協力したいという意欲を表明しました。

世界銀行との共創から得たSDGs成功のカギ【DATA INSIGHT】:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/0421/

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